アクト・ビズ文化財修理室では、石・土・煉瓦・コンクリートなどの材質を対象に現況調査や保存修理を行っています。私たちは「過去から未来への橋渡し」を合言葉に文化財を後世に残すお手伝いを通して社会へ貢献していきます。





調 査
屋外の文化財は同じ材質でも環境により様々な破損を示します。修理方法の決定には現況調査と破損要因特定の調査は欠かせません。アクト・ビズでは、目視や触診による調査や機器を使用した詳細調査を行います。また、修理方法や使用材料を決定するため室内試験や現地試験を行います。現地試験では一定期間の経過観察により修理方法や材料が現地環境に適しているかを判定し、修理実施時のリスクを軽減します。

破損範囲や破損状況を記録するとともに、劣化要因特定調査として温湿度測定調査、塩分濃度測定調査、表面水分調査などを行います。強化処理や補強などの修理方法や保存環境の整備について検討します。


試験
修理では破損状態や環境に応じた材料選定や工法選定が必要です。強化剤の樹脂濃度、補修材などの材料選定試験や強化処理、亀裂充填、接合補強などの工法選定試験を行います。また、現地試験で経過観察を行い、修理仕様を決定します。


保存修理
建造物、石造、遺構のように屋外に保存されている文化財の多くは、湿潤な環境のため風化の進行が非常に早く、定期的な修理が必要となります。修理では劣化部分を薬剤で補う、構造上の欠点を補強する、といった修理を行いますが、必要以上の修理で文化財の持つ価値を損なうことのないよう注意が必要です。アクト・ビズでは長年の経験や高度な技術を持つ技術者が修理を行います。

一見、丈夫そうに見える屋外の石造文化財も、塩類風化や凍害で表層剥離や材質劣化等が進行している場合が多く見られます。破損の進行を軽減させるため、強化処理、破断部の接合や欠損補強などの修理を行います。


遺構
発掘直後の遺構は湿潤な状態のため表面に亀裂は見られませんが、長期間外気に晒された状態が続くと、乾燥収縮による亀裂や塩類風化などで、形状を維持できなくなります。このような状態を防ぐため、基質強化(塗布含浸、点滴注入)や亀裂充填などを行い、土壌の変位を抑制します。また、展示公開を前提とした保存には薬剤処理などの補強に加え、環境整備による土壌水分の制御が必要となります。


近代遺産
近代化遺産の場合、構造上問題が生じるほど破損材は安全性の面から取替えが基本です。強化処理などは軽微な劣化に対して行われることが多くなります。また、浸透性吸水防止処理などを材質劣化が軽微なうちに処理することで、今後の発生するであろう破損を予防します。


その他
近代建築における室内の石膏や漆喰製天井飾り、外部のモルタルやテラコッタ製装飾、また、社寺建築における大棟の端部に設置される瓦などは建物の特徴を示す重要な装飾部材です。このような装飾部材は極端な破損を除き生かし取りのうえ再設置しますが、設置位置が高所が多く安全対策が求められます。このため、強化処理などの修理に加え裏面補強を行い、落下を避ける対策を行います。